地 震 =【 震 度 】と【 地 震 の 大 き さ 】を 混 同 し て 使 っ て い る 。
■「 震 度 」と「 マ グ ニ チ ュ ー ド 」?
「 19日午前10時43分ごろ、和歌山で震度5強の地震①がありました。
気象庁の観測によると、震源地は紀伊半島沖で、震源の深さは浅く, 地震②の規模を示すマグニチュード(M)は6.6でした。
海岸では津波の可能性がありますので注意してください。」
というようなアナウンスの文章には「地震」という言葉が2回(①,② ) 使われています。
「地震①」「地震② 」で、意味が違います。
最初の「地震① 」は「地面が揺れた」という意味で「地面の震動」を表しています。
2番目の「地震② 」は地下で断層が急激にずれ動いた時(断層運動)、最初に動いた
地点(震源)から 大きな地面への振動が生じる地震動の現象を意味します。
この震源での岩盤の破壊の規模(エネルギー)を意味しています。
震度とマグニチュードという言葉の両方の説明に「地震」という同じ言葉が使われ
てます。
1つの「地震② 」に対する「マグニチュード」は,一つの値しかありません。
これに対して「震度」の方は,地震を感じる場所、震源からの距離などによって
値が大きく異なり, ひとつの地震に対していくつもの「震度」が存在します。
【図1】 3.11の震度マップ
2011年3月11日の「東日本大震災」での,各地での「震度」は右図の通りで
震度階級の「震度0」「震度1」「震度2」「震度3」「震度4」「震度5弱」「震度5強」「震度6弱」「震度6強」「震度7」の10階級すべて記録されています。(右図1:震度マップ)
震度は「震度計のある場所」の震度であり、同じ市区町村内でも場所が違えば震度が異なる場合があります。
また建物の高層階、低層階での震度が異なる場合があります。建物の1階と高層階、低層階での震度が異なることを、高い建物や、免震構造の建物に住んでいたり、勤務されている人は 震度の違いを経験されていることでしょう。
右図2(高層階と低層階の震度の違い)は1989年のロマ・プリータ地震のときの
サンフランシスコ、トランスアメリカ・ピラミッドでの震度の違いです。
地震を体験した場所の震度が「震度4」と発表されても、高層階にいて
「震度5強」と感じることは多々あります。
当然地震の規模「マグニチュード」で震度大きさが変わってきます。
震源から遠くなると(震源からの距離、震源の深さ)「震度」は一般的に小さくなります。震源からの距離が同じでも、地盤が軟らかいと「震度」は一般的に大きくなります。(右図3:地震の伝搬)
地震がかなり大きいとニュースになるような「震度5強」の地震は
「マグニチュード8」クラスでは 当然記録されますが、
震源からの距離が近かったり、震源の深さが浅かったりすれば、
「マグニチュード5」クラスの地震でも「震度5強」の震度は記録されます。
DuMA で、前兆現象をサイエンスする地震の大きさの対象外である
「マグニチュード5」クラスでも「震度5弱」や「震度5強」の地震は地域によってはおこります。
【図3】地震の伝搬
【図2】
地 震 の エ ネ ル ギ ー の 大 き さ の 比 較
【図8】
気象庁が独自に定義したマグニチュードでモーメントマグニチュード(Mw)ともM7クラスまで はよく一致しています。
マグニチュードは数字が1つ違うと約32(31.62)倍になり、2 つ増えると地震のエネルギーは約1,000倍になります。 M5=1とすればM8は約3万2千倍、M9で100万倍になります。(右図9)
「震度5強」を引き起こす可能性のある 「M5」以上を"中地震”、「M6」以上を"大地震”、「M8」以上を"巨大地震”と呼ばれます。
阪神大震災はMw=6.9で関東大震災はMw=7.9でした。
「M9」以上を"超・巨大地震”は、近年では、世界で5例しかありません。そのうちの1つが3.11東日本大震災でした。(上図8)
地震のエネルギーの大きさを対数で表した指標値である地震のマグニチュード(magnitude)は、その尺度の定義を変えてきています。
現在では、巨大地震のマグニチュードはモーメントマグニチュード(Mw)を使って表現 する事が共通認識となっている。
金森博雄により1979年に提唱された、新しいマグニチュードの概念です。それまで にいくつも提案されたマグニチュードでは、巨大地震になれば なるほど、実際 のエネルギーより過小評価される傾向があった。金森はマグニチュードを断層面の大きさとずれの量で定義する事を提唱し、ある大きさで飽和する事がなくなっています。
ニュースなどで発表されるのは気象庁マグニチュード(Mj)です。
【図9】
2016年4月14日の地震(のちに前震となった)のマグニチュードはM6.5でした。
また16日に発生した地震はM7.3と発表され、気象庁は「こ れが本震」
と発表しています。
14日の地震は震度7が記録されたため、
この点が非常に大きく取り上げられまし
たが、震度は「ある1地点の揺れの大き
さ」であり、地盤が悪かったり、装置の
設置の仕方が悪いと大きな値を示す事が
あります。また14日の地震では震度6強
は観測されませんでした。 それに対し、16日の地震は震度7こそ報告
されなかったものの(後日調査により2地点で震度7を記録していた)、多くの地点で震度6強を記録しました。
それでは地震そのもののエネルギーは 14日の地震と16日の地震ではどれくらい違っていたのでしょうか ?
マグニチュードの差は0.8です。マグニチュードというのは対数というスケールで、1違うとエネルギーは約32倍違うのです。マグニチュー ドが2違うと1,000倍違うのです(これが定義)。マグニチュードが0.2大きくなるとエネルギーは約2倍、0.4大きくなると約4倍、 0.6違 うと約8倍、0.8違うと約16倍という関係になります(図11)。 従って、14日の地震と16日の地震ではまさに1桁違うエネ ルギー(約16倍)が放出されたのです(図12)。 <<DuMA NL 地震学の豆知識 20160502より>>
地 震 の エ ネ ル ギ ー の 大 き さ : マ グ ニ チ ュ ー ド
地震の発するエネルギーの大きさ:E(単位ジュール) と マグニチュード:M
には次の関係があります。
または
この式からマグニチュード M が 1 大きくなると、エネルギーは約32倍(31.62)大きくななります。
M5=1のエネルギーとした時の M5~M9のエネルギの比較は 図9と図10の表です。
Mの変化と地震エネルギーの倍率の表は図11。図11の表をグラフにしたものが、図12,図13です。
図11,12にあるように Mが0.8大きくなると地震のエネルギーは約16倍大きくなります。
【図10】
【図13】
【図12】
【図11】