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「 地 下 天 気 図 ® 」 の 優 位 性 ~ 海 域 の 地 震

■  地 下 天 気 図 ® の 優 位 性 〜 海 域 の 地 震 の 前 兆 解 析

 DuMAの「地下天気図®」の優位性は海域の地震の前兆解析ができることです。

東海大学/地震予知研究センターで開発された、『SPI=eismic Pattern Informatics』【サイズミック(地震活動度の)パターン・インフォマティクス】、という地震の活動度・静穏化の状態を数値モデル化し、【RTM法】という地震活動評価のためアルゴリズムで計算され、可視化したものが 地下天気図®です。

 地下天気図®は、『地震カタログ』と呼ばれる、地震が、いつ、どこで、どれくらいの大きさで発生したかが記録されているデータベースを使用しています。『地震カタログ』 は「気象庁一元化処理震源情報」と呼ばれ、防災科研Hi-netや国立大学等の独自に高感度地震観測を実施している各機関が, そのデータを気象庁に送信し, 気象庁が一元的に解析しを提供しています(1997年10月より)。

 ちなみに 全地球上で発生する地震の発生場所およびその規模を特定する、世界の『地震カタログ』 は アメリカ地質調査所(United States Geological Survey=USGS)の国立地震情報センター (National Earthquake Information Center =NEIC)が一元管理しています。

 ロシア科学アカデミー、UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)が開発し、東海大学が日本の窓口となっている、全世界のM8クラスの地震を5年間という期間で予測するM8 アルゴリズムのSPI=Seismic Pattern Informatics はUSGSの地震カタログを使用しています。

地下天気図®の優位性

  『地震カタログ』にのっている海域の地震は、陸地に設置された地震計で測定できます。 海の下の”陸続きになっている”地殻で起こった地震は 地震波が地殻を通して、

陸地に設置された地震計で観測されます。   防災科研Hi-netなどの高感度地震観測網の設置場所は図1a。 図1bは日本の大地震(>M6.5以上)マップです。海域の地震が陸地の地震計で測定されています

 ただし 陸地内部の地震がM1,M2とかいった 微小地震でも観測されるのに対して、

海域の地震では微小地震の観測は、海域の陸地からの距離に応じた感度があります。

地下天気図®の海域の地震の前兆解析の感度をマッピングは、図2です。

海の中の震度 地震計
Hi-net地震計設置マップ

​図1a

日本の大地震マップ>M6.5

​図1b

地下天気図®の感度マップ

​図2

 概ね >M2で陸地から50Km、>M3で陸地から300km,  >M4で陸地から400~500Kmの陸地の地震計で測定できる感度です。

(震源の深さにもよる)図2の緑の領域は、>M3.5以上の地震が99%捕捉されて観測できる領域です。地下天気図®では>M3.5以上の地震を使って解析しています。海域地震で頻繁に起こる、日本海溝や南海トラフなどの領域が緑色の領域でカバーされているのがわかります。 さらに三陸沖アウターライズ(陸地から400~500Km沖合)のような海域地域でも予測できるのが地下天気図®の大きな特徴です。

海域と陸域の地震の数

■  地 下 天 気 図 ® の 優 位 性 ~ 海 域 の 地 震 の 数 と 陸 域 の 地 震 の 数

   図3は 世界の地震がどこで発生しているかを表したものです。(1950年~2015年で >M4以上)。 この地震の分布を見れば  日本の領土・領海全域が地震の赤い点で覆い尽くされているのが分かります。

   図4は世界のプレートのマッピングです。世界の地震はプレートの形と近似していることからプレートの境目で起こっているのが分かります。

世界の地震マップ

​図3

世界のプレートマップ

​図4

他の解析ツール

■  他 の 地 震 前 兆 解 析  ツ ー ル

海域の地震と陸域の地震の比較

​図5a

日本の地震マップ

​図5

  図6は震度計マップです。当然海の上に震度計は設置されていませんし、震度計では地震前兆解析は出来ません。

 地下天気図®は 地震前兆解析を海域でもできる優位性のあるツールです。

 地震前兆解析を研究する他のツールは他にもあります。GPSに代表される全地球航法衛星システム(GNSS=Global Navigation Satellite System(s))を使い、XY方向、またはZ方向のセンチ単位の地表の変動を観測し、地殻の変動や地殻のひずみを推定するツール。図7は GPSマップ設置マップ(電子観測点)です。海域にはGPSは設置されておらず、また海域での地表の変動はGPSでは観察されません(一部陸域のGPSによる歪みから海域の地殻の歪みがシュミレーションされるところもあるが、一般的には観察されない)。

 図8は海上保安庁海底観測点マップ(赤●)で、2016年5月に南海トラフの海底の現在の固着状況マップが発表されました。陸上の観測のみからは「ひずみ」 の蓄積状況を正確に推定することはできないので、海底に観測点を設置し、測量船上のGPS測位と音響測距(海底に観測点と測量船の間)を用いた海底地殻 変動観測を実施していますが、図8の様に観測点は多くありません。 

  図5は 過去215年(1800~2015)の>6.5以上の日本の大地震のマッピングです。  

  図3の世界の地震のマッピングでは、日本の領土・領海全域が地震の赤い点で覆い尽くされていて分かりませんでしたが、海域の地震と陸域の地震の比率は、日本周辺で見てみますと図5の範囲では陸地内部:110個、海域地震:412個で、約8割(79%)が海域の地震です。

地震計設置マップ

​図6

GPS設置マップ

​図7

海上保安庁の海底観測点

​図8

  DuMAが、東海大学、その他の大学・研究機関と連携してサイエンスする地圏―大気圏―電離圏 カップリング(LAIC)仮説に基づく地震前兆・予兆現象研究ですが、地震の前兆・予兆現象が 地圏での震源域から電磁気的シグナルが発せられて、連動して(カップリング)大気圏・電離層で電波の乱れるなどしてその前兆・予兆現象が観察されるというものです。地圏での震源域から電磁気的シグナルは一般的に海水で減衰するため、海域の地震では感度が悪くなります。

 ​図9は電磁気観測マップ(11章の11.1 地球電磁気観測 をご参照ください)(LAIカップリング) (民間を除く)です。

■  海 域 の 地 震 の 震 源 地 の 特 定

地球電磁気観測施設

​図9

 地震が起こってからの、数分で気象庁が震源地の特定をします。海の下の地殻深くでも、陸の上にある地震計で震源地の推定がされます。
  20XX年に熊野灘の南海トラフの海域のどこかで大地震が起こったとした時、陸上の地震計観測点で震源地から到達した地震波が観測されます。(図10)
 陸上の地震波観測地点を、A:潮岬、B:志摩、C:御前崎としたとき

震源地から地殻を通じて地震波が、観測地点、A:潮岬、B:志摩、C:御前崎で測定されます。(図11)

海の下の震源地の特定

​図10

海の下の震源の特定(2)

​図11

  地震波は「P波」,「S波」と呼ばれている,縦波が1番目(Primary)にやってきて,横波は2番目(Secondary)に到着します。 地表付近ではP波速度が5km/sec前後,S波速度は3km/sec前後、地殻ではP波は8km/秒、S波は4km秒で伝わります。観測点においてP波が到着してからS波が遅れてやってくるまでの時間を S-P時間と呼び、震源からの距離r に比例します。地震の震源地の推定には、P波とS波の速度の違いを利用します。地殻中をP波は8km/秒、S波は4km秒で伝わるので、震源からの距離が遠くなればなるほど、P波到達からS波到達までの時間が長くなります。速度差と時間差が分かっているので、震源までの距離rが求められます。 

震源の距離と伝わる時間

​図12

海の下の震央の特定(1)

​図13

海の下の震央の特定(2)

​図14

1つの観測地点だけでは、その地点から半径rの球面のどこかに震源がある、ということしかわかりませんが、3つの観測地点それぞれからの距離がわかれば、3つの球面の交点として震源が求められます。図13のTop Viewや図14のSide Viewには 便宜上 平面の円で描かれていますが、実際は図15にあるように平面の円の半径rではなく、立体の半・球体の半径rです。 図16(海保の海底図に加工)にあるような 3つの半球の交差するところが震源と特定され、その真上の海上面が震央になります。 地震波は地殻を通して震源から直線的(実際には光学のスネルの法則と同じ法則です。直線より円弧というような形になります)に到達しますが、後で推定された(逆解析=インバージョン)震央は、(北緯?°、東経?°) と表現され、震央の真下、深さ?Km(震源の深さ)と表現されます。(図17:3.11のケース)

海の下の震央の特定(3)

​図15

海の下の震央の特定(4)3D

​図16

 震源地や震央は X印などで表現されます。 これは誤解が生じやすく 岩盤が破壊されたり、プレートの固着面がはがれたりするのはではなく、ある面積をもったです。 震源は破壊の始まりのポイントで、"海溝付近"の地震は『 面 』の破壊(震源域)です。  図17は3.11の震源と震源域の断面図です。震源域が幅約200km、長さ約500kmとプレートの固着面がはがれ、破壊された面積が巨大だったことが分かります。

■  地 下 天 気 図 ® の 優 位 性 〜 海 の 地 震 の 前 兆 解 析

地下天気図®の感度マップ
​図2
3.11の震源 3Dマップ
​図17

 こうして、陸上の地震計観測点から 海域の地震を特定できるます。 地下天気図®は、『地震カタログ』と呼ばれる、海域を含む地震が、いつ、どこで、どれくらいの大きさで発生したかが記録されているデータベースを使用しています。 

 このことから、地下天気図®は海域を含む地震の前兆解析ができるのです。
 海域を含む地震の前兆解析は、「地下天気図®」が差別化できる優位性のあるツールの1つであると言えます。
 図2の緑の領域は、>M3.5以上の地震が99%捕捉されて観測できる領域です。地下天気図®では>M3.5以上の地震を使って解析しています。海域地震で頻繁に起こる、日本海溝や南海トラフなどの領域が緑色の領域でカバーされているのがわかります。 さらに三陸沖アウターライズ(陸地から400~500Km沖合)のような海域地域でも前兆解析できるのが地下天気図®の大きな特徴です。
地下天気図®は海域を含む地震の前兆解析ができるのです。

※)各図表の出典が、他のWebから引用したものはリンクをはっています。
​  Googl Earth 使用、加工。

図18

■  地 震 波 の ス ピ ー ド は ど れ く ら い 速 い か ? ! !

  地震波の「P波」,「S波」は、 地表付近ではP波速度が5km/sec前後,S波速度は3km/sec前後、地殻ではP波は7~8km/秒、S波は4km秒で伝わります。これらの地震波がどれくらい早いか 比べたものが、図18です。
 地殻のP波を7Km/秒とすると、時速25,000km/時です。これはマッハ21の速さで、東京=新大阪間を79秒で到達する速さです。 光通信の光ファイバー内の信号の速度は光速の2/3倍(光ファイバーの屈折率1.5)で、時速720,000,000Km/時、東京=新大阪間を0.003秒で信号は到達します。 この地震波と光通信の速さの差を利用したものが、緊急地震速報です。
 地球上に住んでいる我々は、1日24時間で自転する地球の上に乗っかって生活しています。そのスピードは時速1,670km/時でマッハ1.5程です。また1年365日で太陽の回りを1周する平均軌道スピードは、更に速く 時速107,229km/時、マッハ90のスピードの超光速メリーゴーランドに乗っていますが、我々は重力のお陰で船酔いもせず、振り落とされもぜず生活出来ています。 
/sec前後,S波速度は3km/sec前後、地殻ではP波は7~8km/秒、S波は4km秒で伝わります。これらの地震波がどれくらい早いか 比べたものが、図18です。

地震波のS,P波の速さの比較
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