地 震 の 基 礎

◆ 地震とは?  なぜ地震が起るのか?

◆ 地震の基礎

  • 地震は地下における急激な断層運動です。地球の表面はいくつかのプレートに分かれており、

それらのプレートは盛んに動いています。

その相対運動の結果として発生する急激な断層運動が地震なのです。

 地震は大きく2グループに分類されます。

その1つはプレート境界でおこる"プレート間地震" (震源の深さ 70km 程度まで) であり、

もう1つはプレート内部で起こる"プレート内地震"です。

プレート内地震はさらに内陸型地震 (深さ30km 程度まで) と、深さ 670km にもおよぶ深発地震に分類されます。

  • 日本列島周辺には4つのプレートがあます。

 ① 太平洋・プレート  ② フィリピン海・プレート

   ③ 北米・プレート   ④ ユーラシア・プレート

太平洋・プレート①とフィリピン海・プレート②が日本列島の下に沈み込んでいます。

これら4つのプレートのせめぎあいで起こる地震は、世界の約地震の 10% にもなっています。

  • 地震は日本を覆い隠すくらいどこでも起こっています。

ほとんどの地震は太平洋沖合のプレート境界で発生するプレート間地震で、プレートの沈み込みに伴って震源が深くなっています。

深100 km 以深の深発地震は,沈み込む海洋プレート内で起きているものでその数は少ない。

東北日本から日本海にかけてはプレートの沈み込み角度が浅いためロシア直下にまで震央が分布しますが、小笠原諸島付近では太平洋プレートが急激に沈み込んでいるため地震も急激に深くなっています。

(日大・吉井先生の図より)

日本周辺でのマグニチュード6以上の地震分布図

 丸印が震源を表し、赤・橙・黄・黄緑・緑・青・

紫の順に深度が深い。  (1926~1998) (JMA)

◆ M7クラス

◆ M5クラス

◆ M3クラス

過去13年間(2000年1月1日〜2012年12月31日)の Mクラスごとの地震の発生場所と震源の深さ

LAIカップリング

Lithosphere-Atmosphere-Ionosphere Coupling: 地殻—大気圏—電離圏結合)

 LAIカップリングは地震あるいは地震前兆が地殻(地面の中、岩石圏、地圏)だけの現象ではなく、広く大気圏や電離圏まで影響を与えている可能性がある事から提唱された。その後、地震時の現象だけでなく、たとえば津波による海面の変動により、大気が押し上げられ、さらにそれが電離層にまで伝わる現象や、隕石が地球に落下する時に、電離層に大きな穴(電子を消滅させる)が開き、さらに大気圏で衝撃波を生じ、それが地面に影響を与え地震計を揺らす現象も広くLAIカップリングと呼ばれる事となった。
_________________________________________________________________________________________

 地球の半径は約6300kmであるが、殆どの地震は深さ100km程度までで発生している。いわば地震は極めて地球の表面近くの現象なのである。さらに電離層も高度80km位から始まり、その間に大気が存在する。いずれも極めて地球の表面近くに位置しており、電離層は地表を写す鏡とも言えるのである。

地球は、半径6400 kmの球体であり、その周りは大気に囲まれている惑星です。地球の表層は、岩石圏と言われる固体になっている(ただし固体面積の7割ぐらいは液体となる海などに覆われている)。その岩石圏の周りは、大気圏で構成されており大気圏も物理的性質の違いで、対流圏、成層圏、中間圏、熱圏の4つの領域に分けることができます。大気(空気)そのもの重力で、ほとんどの大気は、表層つまり対流圏に存在しておりますが、熱圏の上部ではごく微量の大気が、太陽からのエネルギーの高い真空紫外線によって大気を構成する分子が電離させられ(イオン化)、物質の第4の状態(固体、液体、気体とは異なる物質)であるプラズマが大気の一部に含まれます。

この領域を電離圏と呼び高度80 kmぐらいから、1000 kmあたりまでになります。

前述のように、これらの○○圏と呼んでいる理由は、特徴的な物理的性質が異なるため科学者がそのように分類し、学問もそれぞれの領域ごとに優位な観測手法、理論を使い分け、発展していきました。たとえば、岩石圏におけるよく知られた学問としては地震学や測地学があり、

対流圏での学問ならば、気象学になります。つまり、これらの学問の分離は、あくまで科学者の利便性のためであり

岩石圏で発生している現象が、大気圏に影響を及ぼしたり、また電離圏と大気圏が影響し合っているなど、隣り合うそれぞれの領域での

相互作用も学問進展とともに徐々に発展してきています。

  岩石圏−大気圏−電離圏の3つの領域にまたがる最たる現象は、大地震によって電離圏が大きく変動する現象です。

大地震では、大地が上下に大きくかつ広域に振動しますので(スピーカー表面のような振動が発生しているのと同じです)超低周波の音波(インフラソニック波と呼び、人間の耳の可聴領域ではない)を生じさせることができます。このインフラソニック波は可聴の音波と異なり長距離伝搬することができるため高度300 kmまでの電離圏ならば10分前後で到達します。わずか1 mの大地の振動でも電離圏での大気およびプラズマは構成する分子数が微量であることから、対流圏での振動のエネルギーがキロメートルのスケールの大きな振動に変化し(エネルギーが保存されるためです)、電離圏で容易に検知することができます。 (鴨川仁:静岡大学)

 

 

宏観異常現象

宏観異常現象とは, 人々が視覚や聴覚といった五感によって自然界の異常を観察できる現象のことである. 例えば, 犬が意味もなく悲しく吠えたり, 冬眠中の蛇が地中から出てくるなどする動物の異常, 季節はずれの開花や結実などの植物の異常, 井戸や温泉, 河川の水位や水質の異常, さらに, 発光現象, 異常気象, 鳴動など様々ある. そして, これらの異常現象が地震に先立ち, もしくは 同時に観察されたとして世界各地からの報告が残されている。
 「宏観異常現象」という言葉は中国語から由来した経緯(力武, 1998, 2001)からも推論されるように, 中国では宏観異常現象の研究は盛んな様である(中国安徽省地震局, 1979;中国科学院生物物理研究所地震グループ, 1979;尾池, 1978). 特に世界で初めて地震予知に成功したと伝えられた1975年の海城地震(M=7.3)の先行現象には動物異常行動をはじめとする様々な宏観異常現象が考慮されたと報告された(蒋, 1979)。

◆ 地震の『震度』はどうやって決める?

◆ 地震の『震度』はどうやって決める?

地震の震度はどのように決められてきたのでしょうか。1995年の阪神大震災までは、震度は気象庁の職員が体感で決めていたのです。そのため、全国の気象台や測候所など有人の施設のみの約200地点でしか震度というものは人間の体感でしか決められませんでした。

 このような状況の下、「やはり震度計測を機械化しよう」という事になり、その後機械式震度計(計測震度計)というものが開発されました。震度というのは加速度等の一つのパラメータで決まるものではなく、揺れの継続時間や周期などを勘案して人間が判断していたという事があり、それを数値化する作業がなかなか出来なかったのです。

 現在では計測震度計は全国で4000箇所とも言われており、昔より非常に多くの震度情報が提供される事になりました。そのため、たまたま震源地の近くに震度計が存在すると、小さな地震でも大きな震度が観測されるという事になってきました。昔より大きな震度がニュースで流れる事が多くなったのは、このような計測システムの違いが大きく影響しているのです。

◆ 世界の津波危険度マップ

世界の津波の危険度を アップデートいたしました。(2018年8月)DuMA独自の見解で 津波のリスクを Hi-Risk (赤いエリア)、Mid-Risk(オレンジのエリア)の 2つの危険度を示しています。

 

宇宙からの地震予知

減災に即効性がある中期・短期直前地震予知(以下地震予知)のためには 現象(前兆)を検知するのが重要とされています。

先行現象には、地震学・測地学的、地球化学的、地球電磁気的と多種多様報告されていますが、多くは現象そのものが地表ないしは地中で起こっていると想像できることから地上における観測によって見出されているものです。

 

しかし、地上における観測だけでなくともリモートセンシングが行える地球観測衛星ならばこれらの先行現象の一部ならば、人工衛星(高度が2000 km以下の地球周回軌道の低軌道衛星)で見ることができると期待できます。たとえば、測地学的(地震前に変位するなど)の先行現象ならば人工衛星で行われている干渉SAR(合成開口レーダー)捉えることができると期待できるわけです。 とりわけ、低軌道衛星ならば、地球1周を1.5時間前後で周回でき、先行現象の継続時間がこの周回時間を大きく超えるようなものであれば、全球の地震をくまなく精査できるため地上観測に比べて効率よく調べられます。つまり、現象に出くわす確率が圧倒的にあがるというわけです。同じような観点で、地球観測衛星を用いて地表面の温度や大気化学的な現象にも先行現象があるのでは先行現象発見を試みる研究者もおります。

現時点では、いずれの現象でも、学界の誰もが合意できるようなものは見つかっていませんが、全世界には数多くの地球観測衛星がすでに運用されており、過去データも含め膨大かつ多種多様なデータが存在することから、今後もこの視点で研究を進めていく価値はあるでしょう。

 

一方、1980年代、ロシアの科学者を中心に、地上から電離圏の変動を調べると地震前に電離圏が変化するという報告がいくつか出ました。

以後、同様な報告が地上観測のデータを活用して世界各地の研究者から多数出ております。このような報告から、前述の低軌道衛星の利点を生かし、フランスの宇宙機関CNESはこの地震先行電離圏変動現象を調べる電離圏観測低軌道衛星DEMETERを打ち上げ6年間の運用で、統計的に優位な、先行現象を報告しました。この現象は、高度80 km周辺の電子密度の上昇で生じていると見られています。

もしこの現象が、地震の先行現象ならば、なぜ電子密度が地震の前に上昇するかを知りたいわけですが、現時点では、仮説はいくつか提案されているもののこれといった有力な説はまだない状態です。(鴨川 仁 静岡大学)

前震で地中にかかる力を探る

地震が地中にかかる力(応力)の高まりで脆弱な断層が滑ることは良く知られています。
現代科学の共に発展していった地震計の感度や設置数の増加のお陰でかつては観測できていなかったマグニチュードの小さな地震がどんどん検知できるようになってきました。検知できるマグニチュードが小さくなってもグーテンベルグリヒター則には従っています。つまりマグニチュードひとつ小さな地震が検知が出来るようになると検知数は一桁あがってきます。
 

地中の応力の高まりで地震が発生するのであれば、この小さなマグニチュードの地震もごく狭い領域でしょうがその部分では応力が高まっていると想像できましょう。その考えに従えば、大きなマグニチュードの地震は広い領域全般にわたって応力が高まっていて、その領域の範囲内では小さなマグニチュードの地震が時折発生してもよいのではないでしょうか。見方を変えれば大きなマグニチュードの地震の発生前に震源付近で発生する地震を前震であるから、これら時折発生する小さなマグニチュードの地震、つまり前震の発生原因は大きな地震の準備領域を示していると期待が高まります。以上のアイデアに従えば、大きな地震の予測の観点からみると前震を空間的に調べることで将来の大地震の滑り領域が予想できるはずです。前震が本震発生前に分別ができ他の小さな地震とどう違うのかという問題はひとまずおいておき、過去のデータを使って本震の前に発生する前震の発生する広がりを見てみたいと思います。
 

現代では小さなマグニチュードの地震がずいぶん検知できるようになったとすでに述べました。しかし、数え切れないほどの前震をいかなる大きな地震でも検知ができるほどではまだその段階にはありません。そのため、多数の本震事例に対して統計的に分析するのが現代ではまだ適しているでしょう。イタリアの物理学者リピエロ氏はこの解析を行い、余震の発生領域と前震の発生領域が、(あくまで統計的結果の範囲ですが)同じであることを示しました。本震のあとに多数の地震が発生することは大森則という経験則が見つかった明治時代ぐらいでも知られていたことでありますが、余震に比べて圧倒的に検知数が少ない前震に着目して発生領域が同じという結果が得られたことは驚きでありました。また今なお余震の発生する場所を調べて本震の発生領域を推定していることから考えると前震からも本震の発生領域が推定でき、前述の予想通り、小さなマグニチュードの地震の観測で地中の力の分布を知ることができそうです。将来、前震が判別できる手法が見つかれば、大きな地震の発生領域が見積もることができるでしょう。(鴨川 仁 静岡大学)

◆ スロー地震〔サイレント地震)

体に感じない地震(スロー地震、ゆっくり地震等とも呼称される)

 断層がきわめてゆっくり滑ると、我々が地震とは感じないだけでなく、通常の地震計にも記録されません。このような地震をスロー地震とかサイレント地震あるいはゆっくり地震という名で呼ばれています。

 この現象は1980年代後半から90年代初頭にかけて、当時富山大学理学部の川崎一朗教授によって理論的に予測され、発見されたものです。日本の地震学における1990年代の最大の成果と言ってもいいと思います(最初に学界でこの現象の存在可能性が指摘されたのは、1990年の地震学会であったようです)。DuMA/CSOは当時、金沢大学理学部に所属しており、富山大学とは緊密に連携して研究を実施していました。まさにこの現象の発見にリアルタイムで立ち会う事が出来たのです。

 その後、最初の論文が1991年に出版される事になりました(川崎一朗ほか、「日本周辺のサイレントアースクエーク検出の試み』,地震, 44, 75-83, 1991. (https://www.jstage.jst.go.jp/article/zisin1948/44/2/44_2_75/_pdf)」。

 当時は現在のようなGPS観測網も存在せず、古典的な伸縮計(トンネルの中に長さ30m程度から100m程度の石英管を設置し、その長さの変化を精密に測定する計測装置)のデータを解析していました。

 皆様は太平洋プレートが東北地方の日本列島の下に、年間8cm程度の速度で沈み込んでいる事をお聞きになった事があるかと思います。このプレート運動による歪の蓄積が東日本大震災に代表される東北沖での巨大地震を発生させる原因です。

 1年に8cmという事は、10年で80cm、100年で8mの沈み込みとなります。この歪が開放されるのが通常の地震です。ところが東北沖では、すべての地震でどれくらい歪が開放されているかを合算してみると、通常の地震だけでは、この歪を開放することが不可能である事が1970年代から明らかとなっていました。つまり沈み込み量に見合うだけの地震が発生していないのです。地震によって開放される歪は、東北沖の日本海溝沿いで30から40%程度、南海トラフ沿いでは70%程度と言われています。

 つまり残りの歪はプレート境界がゆっくりとすべるために人体や通常の地震計には感じることなく開放されていると考えたのです。1993年には本現象に関する最初の本が出版されました(川崎一朗ほか、サイレント・アースクェイク 地球内部からのメッセージ、東京大学出版会)。

◆ 地 震 波 の ス ピ ー ド は ど れ く ら い 速 い か ? ! !

地震波の「P波」,「S波」は、 地表付近ではP波速度が5km/sec前後,S波速度は3km/sec前後、地殻ではP波は7~8km/秒、S波は4km秒で伝わります。これらの地震波がどれくらい早いか 比べたものが、図18です。
​ 地殻のP波を7Km/秒とすると、時速25,000km/時です。これはマッハ21の速さで、東京=新大阪間を79秒で到達する速さです。 光通信の光ファイバー内の信号の速度は光速の2/3倍(光ファイバーの屈折率1.5)で、時速720,000,000Km/時、東京=新大阪間を0.003秒で信号は到達します。 この地震波と光通信の速さの差を利用したものが、緊急地震速報です。
​ 地球上に住んでいる我々は、1日24時間で自転する地球の上に乗っかって生活しています。そのスピードは時速1,670km/時でマッハ1.5程です。また1年365日で太陽の回りを1周する平均軌道スピードは、更に速く 時速107,229km/時、マッハ90のスピードの超光速メリーゴーランドに乗っていますが、我々は重力のお陰で船酔いもせず、振り落とされもぜず生活出来ています。 
図18

© 2020 DuMA Inc.