まだそこにある3.11後の3大リスク(危険)
東日本大震災後のまだ発生していない危機 —3大リスク?— 2017年10月23日 ニュースレターから
2011年の東日本大震災からはや8年以上が経過しました(2019年5月時点)。
ほとんどの方は「もう地震活動は元に戻ったのでは」とお考えになられているのではないでしょうか。先日も東北地方沖合で地震
が発生した際、気象庁が「これは311の余震」という発表をしますと、私どもも「まだ余震が続くのですか」という一般の方からの質問をよく受けます。
これまでも繰り返し述べていますが、東日本大震災の余震活動は数十年単位で続きます。もちろん余震の発生数は確かに低下していますが、地震学的には、まだ3つの大きなリスクが残っていると考える地震学者も多くいます。それは;
1)最大余震(マグニチュード8クラス)の発生、
2)アウターライズにおける津波地震の発生、の2点です。
1) は本震と最大余震との大きさの関係で、一般に本震よりマグニチュードが1小さい地震
(余震)が発生する事が経験的に知られています。ところが東日本大震災(M9.0)の現在
までの最大余震は実は3月11日に本震の約30分後に茨城県沖で発生したマグニチュー
ド7.6 の地震です。これは期待されるマグニチュード8の地震のエネルギーの約1/4 の大き
さであり、最大余震としては小さすぎるのです。そのため、まだ最大余震が発生していな
いと考えられています。
2) はアウターライズという東北のかなり沖合(日本海溝のさらに東側)で発生する大津波を伴う地震です。
実際に1896 年の明治三陸地震とペアになるアウターライズの津波地震が1933 年の昭和三陸地震と考えられており、実に30年以上経ってから発生しているのです。このアウターライズ地震が怖いのは、海岸から遠く離れているため、東北地方ではそれほど大きな揺れにならないのですが、突然大津波が襲ってくるという事です。当時は津波地震という概念もなく、今のような気象庁による津波速報も
なかったために、大きな被害が出てしまいました。